視力低下の症状(6)〔飛蚊症〕。
眼球内の水晶体(レンズ)の奥には、「硝子体」という水っぽいゼリー状のものが入っています。
外から目に入った光は、この硝子体を通過して網膜まで達するのですが、なんらかの原因によって硝子体に濁りが生じると、その濁りの影が、いわばカメラのフィルムの役割を果たす網膜に映って、虫や糸屑状の浮遊物が消えることなく、いつも飛んでいるようにみえます。
これが、「飛蚊症(ひぶんしょう)」と呼ばれる症状です。
飛蚊症には、老化によって起こる「生理的飛蚊症」と、他の眼の病気が原因となって起こる飛蚊症の、二種類があります。
飛蚊症のほとんどは「生理的飛蚊症」であり、これは病気ではありません。
また、若い人でも、中高年の人でも起こり得る症状で、放置してもかまわないとされています。
若い人でも、生まれた後に普通はなくなっているはずの血管のなごりが、硝子体に残存し濁りとなって、飛蚊症の症状を感じることがあります。
中高年者の場合は、「硝子体剥離」が、飛蚊症の原因としてもっとも多いと言われます。
加齢によって「硝子体」がゼリー状から液体状に変化し、しだいに収縮して網膜から剥がされていくことで、飛蚊症の症状を自覚します。
これは、小じわや白髪と同様の老化現象であり、また強度近視の場合には必ず起きると言われています。
飛蚊症になった頃は、どうしてもうっとうしさを感じますが、慣れればさほど問題を感じなくなるといわれます。
ただし、慣れたからといって症状が消えるわけではなく、むしろ歳をとるにつれて目の前の浮遊物が増えてくる可能性のほうが高いです。
最後に、「生理的飛蚊症」が病気ではないということと、なんらかの病気の症状として飛蚊症が出てきている場合では、話がまったく別ですので、注意しましょう。
「網膜剥離」「ぶどう網炎」「硝子体出血」などの病気に伴って、飛蚊症や視力低下が起きている場合には、早期治療が重要なことは言うまでもありません。
以上から、まずは、飛蚊症を自覚した場合、それが病気によるものなのかそうでないのかについて、早めに専門眼科医の診察を受けるのがベターでしょう。
また、見える浮遊物の数が急激に増えたり、形が変わったり、あるいは視力低下を自覚したような場合には、必ず早急に専門眼科医の精密検査を受ける必要があります。
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