ロービジョンとは~早期のケアが重要
ロービジョン(Low vision)は、眼鏡等による矯正をすれば見えないわけではないものの、日常生活において何らかの視力や視野の障害があるために、生活に何らかの不自由さを感じる状態をさします。
日本では弱視(医学弱視)と対比され、「社会弱視」「教育弱視」とも呼ばれているようです。
日本国内のロービジョン患者数は、約145万人と推計されています。
原因には先天的なものもあれば、緑内障や糖尿病性網膜症・白内障や加齢黄斑変性などの後天的な眼病に起因してもたらされることもあります。
眼に病気があっても無くても、「とにかく生活に支障をきたす程度に、両眼の視力が出ない状態」を指すわけです。他に症状として、視野の障害や羞明(しゅうめい、まぶしさ)が出ている場合もあります。
国内および海外においても、ロービジョンの共通的な定義は、現状まだ確立していません。
ちなみに世界保健機構(WHO)の定義では「良い方の矯正視力が0.05以上~0.3未満」、アメリカの定義では「良い方の矯正視力が0.1超~0.5未満」となっています。
ロービジョンの原因となる眼疾患や症状、そして結果的にもたらされる不便さに関わる個人差が大きいことも、ロービジョンの社会的な認知を妨げる一因となっています。
視力が完全に失われた状態は「全盲」ですが、弱いながらも視力の出ているロービジョンとは、この点で区別されます。
治療によって眼病から回復したものの、視力や視野の障害が残った場合、その残った視機能を最大限活用するためのケア(ロービジョン・ケア、Low vision care)が必要になります。
ロービジョン・ケアは眼疾患の治療と並行して、できるだけ早い段階から行うのがベストとされています。
また、ロービジョン・ケアは必ずしも医療的処置にとどまらず、たとえばPC作業で音声読み上げソフトを使ったり、外出時には歩行つえなどの福祉用具を使うなど、生活の改善をはかるための福祉分野に及ぶこともあります。
身体障害の視覚障害者手帳の申請をすることにより、等級(1~6級)によって弱視レンズや単眼鏡などの光学的補助具、あるいは拡大読書器や拡大ルーペなど日常生活上の補助具に関わる公的助成(費用補助)を受けることができるので、まずは眼科に相談してみるのがよいでしょう。
この「視覚障害者手帳」の存在、あるいはその申請方法を知らないロービジョンの方々が、全国にはまだ相当数いると言われています。
2012年の診療報酬改正により、すでにロービジョンは保険適用となっています。このためまだ数は多くないものの、ロービジョンの専門外来を手がける眼科も徐々に増えてきています。
ロービジョン対応医療機関リスト(日本ロービジョン学会)
ロービジョンケア施設(日本眼科学会)
治療にあたっては、ロービジョンを専門に手がける医療機関を受診するようにしましょう。
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