緑内障の治療 まず眼圧を下げる
緑内障は眼圧が異常に高まり正常眼圧を越えている場合に、視力低下のみならず視野欠損を伴うことを特徴とし、最悪の場合は失明してしまう恐ろしい病気です。
緑内障は日本人の失明原因の第1位であるにもかかわらず、実際に治療を受けている人は全体のわずか1割程度にとどまっています。
欠損した視野や悪くなった視力が再び回復することはなく、視力より先に視野障害を自覚するのが通常です。現状では「視野や視力の喪失は、常に一方通行」であり、「治療はいま以上の悪化を防ぐだけ」ということは、よく覚えておきたいものです。
ただし早期発見により、高くなった眼圧を下げるための治療や手術を早期に行えば、失明という大事にいたることはありません。
上述のとおり、緑内障はどちらかといえば視力低下より視野障害が主な症状ではありますが、40歳以降ともなると十分注意するべき病気であると言えます。
もっとも多く見られるのが、強い痛みとともに、短時間で失明するタイプの急性緑内障です。
急性緑内障では片目の視野が少し欠けてきても、もう一方の目がなんとか補ってくれるために放置したり気づかなかったりして、対処が遅れがちです。
急性緑内障は、事前に頭痛や吐き気などを併発することも多いのですが、このような場合は我慢せずに、一刻も早く眼科を受診すべきです。放置すると最悪の場合、数日程度で失明に至ります。
また、慢性緑内障の場合は、長い年月をかけて自覚症状がほとんど無いまま進行するので、目が疲れやすくなったり、かすみ目の症状がでた場合には特に注意し、年一回程度は眼圧検査を受診するなど、自分なりに気を配ることも必要です。
慢性緑内障の場合は、目の痛みや充血などの症状もないままに、たまたま眼圧検査や眼底検査を行った結果、見つかることが大部分と言われています。
慢性緑内障のひとつに「正常眼圧緑内障」があります。
初期症状らしきものはないのですが、進行するにつれて段々と視野が狭くなってきます。視野の狭さ等を自覚したときは、すでに相当症状が進んでいると考えるべきです。恐ろしいことに、「正常眼圧緑内障が、日本人の緑内障の7割以上でもっとも多い」という調査結果もあります。
さて、緑内障は先天性・慢性・続発性とさまざまに分類されていますが、急激な視力低下を感じた場合は、急性緑内障である可能性もあります。
目が充血し赤くなり、また頭痛や強い吐き気を伴った場合には、一刻も早く眼科に行き、眼圧を下げる治療を施す必要があります。
吐き気や頭痛がするといって間違って内科や脳神経外科に行ってしまい、治療が遅れたという事例もありますので、明らかな目の充血やかすみの症状がでている場合には、眼科で早期治療を受けることが肝要です。
緑内障の治療の基本は、「眼圧を下げること」になります。
治療の中心は点眼薬で、現在は多くの種類の点眼薬が用意されており、眼圧を効果的に下げることが可能となっています。また、新薬の開発も進んでいます。
緑内障の点眼薬は原則として「プロスタグランジン(PG)関連薬」が第1選択肢になり、その次の選択肢が「β遮断薬」か「αβ遮断薬」「炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)」になります。
「プロスタグランジン(PG)関連薬」は、房水の排出を促すことによって眼圧を下げる効果に優れ、かつ副作用も少ないことから、ファースト・チョイスとなっています。
しかし1種類の点眼薬だけでは十分に眼圧を下げられない症例もあり、治療経過に応じて薬の種類を変えたり、複数の点眼薬を併用することもあります。
(緑内障の点眼薬でもっとも見られる副作用は「結膜の充血」ですが、これは投与を中止すると消失します。)
ちなみに緑内障の点眼薬治療には健康保険が適用されるので、自己負担額は視力検査が2千円程度、点眼薬も月額2千円程度で済みます。
点眼薬による治療の効果が見られない場合は、たまった水を流す経路を設けるための眼球切開手術が行われることがあります(緑内障のレーザー治療・手術治療の概要 ご参照)。
緑内障は上記の通り、何よりも「早期発見と早期治療」が大事です。
しかし治療が終われば完治というわけでなく、その後もずっと点眼薬や内服薬の投与などによる眼圧のコントロールに気を配っていく必要があり、適切な間隔で眼科医で定期検診を受ける必要があります。
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