緑内障のレーザー治療・手術治療の概要
緑内障の治療 まず眼圧を下げるで記したとおり、緑内障の治療はまず眼圧を下げるための薬物治療が基本になりますが、十分な効果が得られない場合は、レーザー治療や手術が行われることになります。
緑内障のレーザー治療は、レーザー照射によって虹彩の周辺部に小孔を作ったり、孔の一部を凝固・収縮させて、眼内に溜まって眼圧を上げていた「房水(ぼうすい、眼球内の体液)」の流出を良くするものです。
ただしレーザー治療は効果の持続性という面で不確かなところがあるため、現状では「薬物療法の補助的治療」と位置づけられています。
緑内障は基本的に、眼圧が高くなって視神経に障害が起こり、結果として視野が狭くなる(欠損する)眼病です。
(ただし眼圧が一般的には正常範囲であるにも関わらず、視野が狭くなる「正常眼圧緑内障」もあります。この場合はその人にとっての眼圧がまだ高すぎると判断され、やはり眼圧を下げる治療が行われます。)
点眼薬による治療で眼圧低下が目標値に達しない場合、手術が行われます。
注意すべきは、緑内障の手術はあくまで「眼圧を下げる」ためのもので、萎縮した視神経そのものを治すわけではない点です。
したがって神経の萎縮が進んだ人は。たとえ眼圧を下げたとしても失明を免れないこともあるため、いずれにせよ緑内障の治療は早期に開始されねばなりません。
手術様式は大きく、以下の3様式に分けられます(手術時間は1.5~2時間程度、一定期間の入院が必要です)。
手術費用は保険適用があり、原則として10万円前後が目安になります。
● 線維柱帯切除術(せんいちゅうたいせつじょじゅつ、トラベクレクトミー)
手術の第一選択となる術式です。どの種類の緑内障にも適応しますが、眼球の壁に小さい孔を設け、房水がこの孔を通って結膜下に流れるようにします。これによって、眼圧が15mmHg以下の低い値に下がる確率が高くなります。
この手術には、せっかく開けた孔に癒着が生じ、房水の流れ出る道が閉じてしまうリスクや、数年経過後に細菌感染による合併症が起きるリスクがあります。
そして60歳以上の方は高い確率で、術後に白内障が出現します。よって高齢者の場合は、白内障の同時手術も考慮されます。
ただし安定性の高い抗生物質の塗布や眼球マッサージの施行の併用により、手術そのものの成功率は8割程度と非常に高くなっています。
● チューブシャント手術
房水の流出路に排水用のチューブ素材を挿入し、房水を眼外に出して流出路の閉塞をきたさないようにする手術です。日本では、2012年から保険適用となっています。
欧米の試験では、眼圧が下がる効果が高く、合併症の発生もこれまでの術式より少ないとされます。
ただし日本ではまだ実績も多くなく、安全性の観点から手術適応となる症例は限定されています。
緑内障チューブシャント手術に関するガイドライン(日本眼科学会)
● 線維柱帯切開術(せんいちゅうたいせっかいじゅつ、トラベクロトミー)
先天緑内障・一部続発緑内障・開放隅角緑内障など、一部の緑内障に極めて有効な術式とされます。
眼内の排水を担う管組織を探して切開し、排水の効率をあげる術式です。術後1~2年で眼圧が再上昇するリスクが高いことなどから、今では主流の術式では無くなりました。
手術後は一定時間の経過後に眼圧の測定を行い、続けて数日かけて眼球マッサージと切糸を行っていきます。
あわせて瞳孔薬を一日に数回点眼し、瞳孔の癒着を防いでいきます。
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