眼底出血~網膜静脈分枝閉塞症が多い
眼底出血は網膜から出血している状態を指しますが、単独の病名というわけではなく、病気に起因する出血の症状です。
症状といっても、自覚症状は感じないことがほとんどであり、また鏡を見ても、それとは気がつきません。
眼底出血は主に、眼底検査によって発見されます(眼底検査については 眼底検査とは~視力のために精密検査を眼科で受診 ご参照)。
よく白目の部分の出血を、眼底出血と間違える方がいますが、白目の出血は「結膜下出血」と呼ばれ、こちらは目の表面だけに出血しているにすぎません。
眼底出血が起きる原因については特定されていませんが、高血圧や糖尿病、血管の炎症がある場合に発症しやすいといわれています。
眼底出血は、「網膜静脈分枝閉塞症」(もうまくじょうみゃくぶんしへいそくしょう)、「糖尿病性網膜症」、「加齢黄斑変性(AMD)」(かれいせいおうはんへんせい)などの病気における症状として、あらわれます。
そのなかでも「網膜静脈分枝閉塞症」や「糖尿病性網膜症」による眼底出血が、症例としては最も多いとされています。
(なお糖尿病性網膜症については糖尿病性網膜症~早期対応が重要 を、加齢黄斑変性については加齢黄斑変性(AMD)~高齢者特有の眼の疾患 を、それぞれご参照ください。)
網膜以外においては、たとえ静脈が詰まっても、他の静脈に血液が流れる道ができるため出血しないのですが、網膜は非常に薄いために、血栓ができて静脈が閉塞(押しつぶされる)してしまうと、行き場を失った血液があふれて出血してしまいます。
これが網膜静脈分枝閉塞症による眼底出血です。
なお、視神経のところで静脈が閉塞した場合は「網膜中心静脈閉塞症」(もうまくちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう)と呼ばれますが、症例のおよそ8割以上は網膜静脈分枝閉塞症であるとされています。
出血部分においては、瞳孔から入ってくる光が網膜まで届かないため、その部分の視野がさえぎられ視力低下が生じたり、視野が一部欠けて物が見えなくなる場合があります。
仮に自覚症状が無くても放置してしまうと新しく血管ができてしまうため、そのもろい部分からさらに出血を招いたり、あるいは網膜剥離などの合併症を起こす懸念もありますので、すみやかな治療が必要になります。
治療としては、閉塞した部位に応じて、血液の流れをよくするための薬物治療・レーザー治療・手術などが行われることになります。
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