視力低下の原因と症状(12)〔複視〕。
「複視」とは一言で言ってしまうと、ひとつの物が二重に見える症状です。
通常、私たちは二つの目を通じて、ひとつの物として認識する、つまり一点に焦点をあわせるということができています。
私たちの眼球には、上直筋・下直筋・内直筋・外直筋・上斜筋・下斜筋という6つの筋肉がついており、これら筋肉の動きが、両眼においてバランスよく保たれることによって、眼の焦点をあわせることができているのです。
これらの筋肉が両眼で同じように動くよう、脳から指令が出ているわけです。
これらの筋肉の動きをコントロールしているのが脳神経ですが、かりに脳神経になんらかの障害が起きた場合、左右どちらか(あるいは両方)の眼の動きが鈍ったり、そのバランスが崩れたりするため、眼の筋肉に麻痺が起きて、物が二重に見える症状が起きてきます。
これが「複視」といわれるものです。
「複視」の原因は、糖尿病や脳動脈瘤、白内障や脳卒中・脳腫瘍など、大きな病気に起因した脳神経障害によるものが少なくないとされますが、原因の特定が難しい場合もあるようです。
また、「複視」には「単眼複視」と「両眼複視」があり、この両者はそれぞれ原因が異なることから、その判別がとても重要だとされます。
「単眼複視」は、片眼で複視が起こるもので、その原因は近視や遠視、乱視などの屈折異常が多いとされます。
この場合の治療法は、眼鏡をかけたり、あるいは手術となります。
また白内障が進んだときにも「単眼複視」を自覚することがあり、この場合には白内障手術が必要になります。
一方、「両眼複視」は、片目で見ると物は一つに見えるのに、両目で見た場合には、二つに見えるものです。
したがって、「単眼複視」と「両眼複視」の判別をするためには、片方の眼を隠して物を見てみることで区別ができます。
ひとつの眼でみて物が二重に見えるようであれば「単眼複視」、ひとつの眼でみた場合ちゃんと見えて問題はないが、両眼で見た場合にはダブって見えるようであれば「両眼複視」の可能性が高いことになります。
「両眼複視」は、眼筋麻痺を起こすことで左右の眼球の位置がずれている、いわゆる「斜視」の状態であることが原因の場合がほとんどです。
幼児期から斜視の人は、その状態に慣れている時間が長いため、脳内で片方の映像を無意識に消すような処理を行っていることから、「複視」を自覚することはまずありません。
しかしそれまで視力が正常だった人が、脳神経の障害や眼筋麻痺に起因し急に斜視となった時などは、「両眼複視」が起きる場合があります。
したがって、その治療としては斜視手術などが考えられますが、「両眼複視」の原因を考えてみると、その背後に脳梗塞や脳腫瘍などの大病が隠れている可能性もあることから、自分の判断で事態を放置するのは危険、といえるでしょう。
ある日突然に、物が二重に見えるような症状を自覚した場合には、いずれにせよ「単眼複視」と「両眼複視」の正確な判別も含め、眼科での詳しい検査を早急に受けることが、必要になってきます。
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